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お知らせ

第71回 下伊那 子山羊市場 開催報告

2020年8月4日

7月9日に開催される予定だった「第71回 下伊那 子山羊市場(共進会・競り)」が大雨の影響により8月4日へ延期され、長野県飯田市三尋石集畜場にて滞りなく開催されました。
新型コロナウイルス感染症の心配もある中、感染症対策を施しての開催となりました。
関係者としては無事に開催されたことに安堵いたしました。

開催概要

国内では、定期的に開催される沖縄県の市場を除けば、本州で行われる市場は、愛知県・長野県・群馬県の3カ所しかありません。
しかも各地域ともに年1回しか開催しない全国でも珍しい催しです。
市場は大きく2つに分かれており、前半に今年の春に産まれた登録日本ザーネン種山羊の共進会(品評会)、後半に競り(セリ)の2部構成です。
競り(セリ)は、誰でも参加することができ、お目当ての山羊を購入することができます。
今回の山羊市場では、飯田下伊那地域の飼育者が31頭(雄5頭・雌26頭)の山羊を出品し、全国から集まった約20名の購入者が競り(セリ)を行いました。
市場価格は、雄の平均価格は50,400円、雌の平均価格は45,923円でした。
近年、高騰していた山羊の価格は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、3割ほど安くなる結果となりました。

競りの様子

会場の様子

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▲ 153号線から集畜場への入口が分かりにくいため看板があります

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住宅街の坂道を上がると会場があります

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到着後に車の消毒と入場手続をします

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山羊の名簿をもらって山羊をチェックします

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▲ 共進会(品評会)では審査委員が協会規定に沿って体格審査を行います

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▲ 共進会(品評会)の結果発表と表彰の後は競り(セリ)が始まります

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愛知ヤギ農場は、雄部門で特別優秀賞を獲得したチャンピオン山羊をセリ落としました

メディア紹介

NHK長野放送局と地元のSBC(信越放送)が取材に来ており当日のニュースでも取り上げられていました

図3.png

山羊市場の開催状況について

<長野>
名前:第71回 下伊那 子山羊 市場(共進会・セリ)
日時:2020年8月4日(火)9:15~/11:00~
場所:三尋石集畜場(長野県飯田市大瀬木)
窓口:JAみなみ信州 営農部畜産課
電話:0265-52-6968
備考:当初開催予定だった7/9が大雨のため8/4に延期
URL:https://www.ja-mis.iijan.or.jp/news/2020/07/71_2.php

<群馬>
名前:第24回 群馬県 畜産 共進会(山羊の部)・交換会
日時:2020年9月4日(金)9:30~/11:30~
場所:渋川家畜市場(群馬県渋川市半田2760)
窓口:公益社団法人 群馬県畜産協会
電話:027-220-2371
備考:毎年8月最終金曜日に開催されており、今年も8/28の予定であったが予告なく9/4に変更(理由は不明)しており、主催者からは「今後も急遽変更の可能性がある」と聞いている
URL:https://www.chikusankyokai.or.jp/livestock/goat-touroku/#sec01

<愛知>
名前:第32回 愛知県 子山羊 品評会・セリ
日時:不明
場所:不明
窓口:愛知県緬山羊協会
電話:052-961-6644
備考:開催の有無について主催者は公式にコメントしていないため下の所感にて補足します
URL:(過去の記事) https://www.pref.aichi.jp/soshiki/chikusan/yagi.html

所感

下伊那の山羊は、全国の山羊生産者が一目置く山羊です。
それもそのはず1949年からはじまった下伊那の山羊市場は今年で71回を迎えており、単純に71年の歴史があるということです。
その長い歴史において独自の飼育方法を確立し、村や町をあげて丹念に育種改良してきた取り組みは一朝一夕で真似できるものではありません。
例えば、共進会が行われる他の地域(群馬、愛知)で山羊を飼育している生産者には、多いところで300頭もの山羊を飼っている方がいます。
300頭は極端な例ですが、1人の生産者が自分の牧場で育種改良をするには最低でも雄1頭と雌1頭が必要であり、加えて血統が重ならないように別の系統を飼養する必要があります。
さらに育種改良は、成山羊の能力(遺伝、乳量、体格審査など)を見極める必要があるため
単年で成果を判断することが困難であり、そのため経過観察として何年も飼育し続けることで雪だるま式に飼育頭数が増える結果になります。
しかし下伊那には、2~3頭しか飼育していない飼育者が多くいます。
これが地域で山羊を育種改良する文化であったり、飼育者が培ってきた飼育技術なのです。

山羊飼育者として下伊那地区の山羊は、雲の上の存在であり、高嶺の花というか別の動物だと思っています。
今回は、そんな憧れの下伊那山羊の雄を購入する意気込みでセリに参加させていただきました。
あらかじめ目星をつけていた雄山羊がいたのですが、なんと、その山羊が共進会(品評会)雄部門で特別優秀賞を獲得してしまったのです。
自分の目利きが正しかった嬉しさと、その山羊がチャンピオンになってセリ価格が高騰することの心配と複雑な気持ちでした。
しかし、愛知ヤギ農場の今後の育種計画において今年の雄山羊は重要な位置づけでしたので、妥協することなく今年一番の雄山羊を最高値でセリ落としさせていただきました。
あとで分かったことですが、最後までセリ合った相手は、下伊那地域の農協職員でした。
一部では、地域の農協職員がセリ価格をいたずらにあげているという噂も聞きますが、セリのあとでその職員に挨拶したところ「この地域の今後を担う種雄山羊として絶対セリ落としたかったですが、予算も超えてしまったし、気迫に負けました」と言っていました。
こちらとしては
昨年の平均価格の10倍の軍資金をもって不退転の決意で来てますからお互いのために辞退してもらってよかったと思います。
その職員の方は、2等の優秀賞山羊をリーズナブルな価格でセリ落としていたので結果オーライでしょう。
ただ、
昨年は雌山羊が雄山羊より4割以上も高い金額で売買されており、本来的には雌山羊の方が高額で売買されますが、今年は雄山羊の平均価格を上げてしまったかもしれません。

最後に、各地の山羊市場の開催状況についてコメントしておきます。
今年は新型コロナウイルス感染症のこともあり、主催者としても参加者としても万全の対策をしたうえで慎重な行動が求められている点は各地が同じです。
しかしながら「
愛知県 子山羊 品評会・セリ」については主催者の言動に疑問と不信感を感じざるを得ません。
私も愛知県子山羊品評会に出品する生産者という立場から再三、主催者に確認と提言をしてきましたが、愛知県の子山羊品評会やセリを楽しみにされている方々にはお恥ずかしい限りです。
ことのはじまりは、愛知県子山羊市場を開催した場合、主催者として品評会やセリでコロナウイルス感染拡大の原因をつくりたくないということからきています。
これ自体は主催者として自然な発想でしょうし、リスクヘッジするうえで正しい考えだと思います。
それでは、なぜ同じ時期に同じ愛知県内で牛の品評会とセリが開催されたのでしょうか?
畜産業が盛んな愛知県内の他の畜産業務や催しは全て止まっているのでしょうか?
感染症対策に留意したうえで粛々と執り行われているのが現状です。
これらに疑問しか残りません。
例年の開催予定日は6月第二週の水曜日と決まっていますが、現時点で2カ月近く経過しておりますが、主催者である愛知県緬山羊協会は、開催の有無について公式にコメントしていません。
愛知県の山羊市場で行われるセリは全国でも唯一、県内外から生産者が持ち込んだ山羊を出品できる市場であり、ここで山羊を販売することを1つの販路(なかには愛知県山羊市場で販売するしか選択の無い)という方が多くいらっしゃいます。
また山羊市場での山羊販売を生活費の糧とされている方にとっては開催されないことが死活問題という方がおられるのも事実です。
そのため「愛知山羊市場で山羊を買いたい」という方よりも「愛知山羊市場が開催されないと困る」という圧が強くなっているのは想像に難しくありません。
結果的に「開催する」ことによる感染拡大リスクの責任をとりたくないし「開催しない」ことによる苦情を受けたくないという思考から現在の状況に陥っています。
多くの方が、この愛知県緬山羊協会の対応に不信感を抱いていますが、私が不信感を超えて怒りを感じたのは、一連のやり取りの中で愛知県緬山羊協会の担当者が吐いた捨て台詞「忙しくて山羊のことはできない。うちは豚の業務がメインで山羊の業務は片手間です。山羊のことだけやっている訳ではありません。」という言葉です。
世の中では、マルチタスクやパラレルワーカーという働き方が当たり前の時代ですから何を言っているのか理解できませんでしたが、仮に担当者を擁護するならば、緬山羊業務の優先順位を高くもって本気で取り組む団体か人へ渡すべきでしょう。
なぜならば、愛知県緬山羊協会のために我々のような利用者がいる訳ではなく、利用者や生産者のために協会が存在するからです。
でなければ愛知県が掲げる「改良及び優良種畜の育成推進につなげることを目的」とする催しや協会の意味がありません。
現に昨年、愛知ヤギ農場から愛知県緬山羊協会に依頼した案件は10カ月経っても何の連絡もありません。
また、今年の
出産や新規血統登録など4カテゴリー28件の申請は2カ月以上が経ちますが、これも何の連絡もありません。

改めて、下伊那子山羊市場でJAみなみ信州の素晴らしさを感じながら顧客価値を無くした愛知県緬山羊協会の功罪から組織としての在り方や衰退産業の裏側を垣間見ることができて勉強になりました。

以上、第71回下伊那子山羊市場の開催報告でした。