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ヤギの品種が全国最多

愛知ヤギ農場では、10品種15系統50頭のヤギを飼育しています。
その品種と頭数を飼育する経験と実績は「国内の有力な動物園 ※1」と比べても突出しています。
特に、愛知ヤギ農場が独自の飼養技術によって育種改良した「ミニヤギ ※2」は大人になった時の大きさが健康な状態で一般的なヤギの半分ほどです。

現在、世界には約 600 品種(Bertrand Servin 2018)のヤギがいます。いろいろな分類があるなかで一般的な用途別では乳用種・肉用種・毛用種の3つに分類されます。ただし、毛用種のカシミヤヤギやアンゴラヤギは日本の気候に合わないことと毛用として飼育されていないことから愛知ヤギ農場が飼育している2種類(乳用種、肉用種)のヤギをご紹介させていただきます。

※1 伊谷原一京都大学教授 他(2021)「何でもランキング(動物園編)」日経新聞
※2 中西良孝鹿児島大学教授 監修(2017)「ヤギ飼いになる(ミニヤギとは体重約10~30kgの小柄なヤギの総称)」誠文堂新光社112

各取扱い品種の説明

サーブル種

その昔1912年にアメリカ合衆国ペンシルベニア州で父:Saanen Chief III AMGRA 363と母:Victorine AMGR 367の間に産まれたヤギがサーブルのルーツとされており、現在ではブリーダーによる国際的な品評会が開催されるほどアメリカ原産の乳用ヤギとしては代表的なヤギの一種です。しかしながら日本国内でトレーサビリティが明確なサーブルは当農場だけだと言われています(NLBC職員曰く)。まだ輸入制限がなかった時代に国策としてアメリカから輸入されたヤギの先祖返りによるものですが、大変珍しいヤギを飼育できることを嬉しく思います。ヤギの特徴は白色、褐色、黒色、灰色などが混ざった色柄でメスの体重は40~60kgになります。日本ザーネン種と同じようにメスは出産して子ヤギが離乳した後に、搾乳することができます。

ボア種

南アフリカ原産で、主に南アフリカや中央アメリカなどで飼育されている肉用種です。数ある肉用種のなかでも発育が優れており、日本国内には1999年(平成11年)に地域振興の一環として沖縄県へ導入されました。当農場にいるボア種も沖縄から迎え入れた希少なヤギです。一般的に毛色は、白色と褐色の2色からなる色柄が大半ですが、その中でも珍しいものでは褐色のみのレッドボアという品種がいます。性格はとても大人しく、鼻が大きくて、耳が長く垂れて、肢が太いのが特徴です。通常の体重は90~130kgになりますが、当農場では小型化~中型化の育種改良に成功しています。

トカラヤギ

鹿児島県の吐噶喇列島を原産とする日本在来種です。毛色は薄茶色、黒色を中心に白模様や背中に黒い線があり、体重は20~35kgと小型なのが特徴です。在来種特有の腰麻痺の抵抗性があると言われていましたが、近年ではトカラヤギでも腰麻痺に罹る症例があるため定かではありません。昔は吐噶喇列島だけに純粋種が存在していましたが、現在は近交係数を下げるために100%純血種は存在しません。

シバヤギ

長崎県の西海洋および五島列島を原産とする日本在来種です。毛色は、基本的に白色で、体重は25~40kgとトカラヤギよりも少し大きめの中型です。在来種特有の腰麻痺の抵抗性はトカラヤギと同じく、近年はシバヤギの罹患例があるため定かではありません。現在、シバヤギの純血種は一部の公的機関や大学機関のみで飼育されており、一般的に市販されているシバヤギは純血種ではありません。

韓国黒山羊

名前のとおり韓国を代表する韓国原産のヤギです。その昔、西アジアから東南アジアへ渡ったベゾアール系の肉用種(カンビン・カチャン)を起源とする品種です。毛色は黒色が一般的で「黒ヤギさん」の愛称で可愛がられています。肉用種をルーツとする品種の中では体格(体高・体長)が小柄な点が特徴です。腰麻痺の抵抗性があると報告されていますが、個体差があるため定かではありません。

島山羊

歴史をさかのぼっても日本在来種の由来や起源は明らかにはなりませんでしたが、そのルーツは今から1000年以上前に交易のあった中国、韓国、東南アジアから日本に渡来したのが有力説と考えられています。時間の経過と共に地域によってトカラヤギやシバヤギとして限定した環境で独自に発達をしてきましたが、南方(屋久島、奄美大島、吐噶喇列島、沖縄など)の島々で雑種化したヤギたちを総称して島山羊と言うようになりました。毛色は黒色、褐色、白色など様々で、体重は20~35kgと比較的小柄なのが特徴です。一概には言えませんが雑交配によって引き継がれた多様性により身体が強い印象があります。

日本ザーネン種

古くは1853年(嘉永6年)黒船来航時にペリーが持ち込んだのを始まりに、ヨーロッパから輸入したヤギ(スイス西部ザーネン谷原産のザーネン種)を日本在来種と交配させて誕生した改良乳用種です。1949年(昭和24年)に日本山羊登録協会が設立されたことで日本ザーネン種として乳用ヤギの主流になりました。一般的に毛は白色で性格は温厚です。体重は去勢していない種オスは100kgを超えるほど大きくなりますが、去勢したオスは30kg前後で成長がとまり、扱いやすいサイズと大人しい性格が飼いやすいと人気です。メスの体重は40~60kgになります。メスは出産して子ヤギが離乳した後に、約半年間にわたってお母さんヤギからの恵み(ヤギミルク)をいただくことができます。